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【小論文解答】:2023年/順天堂大学/医学部/本試験

 家族の皆様元気にしておられますか?私は仲間とこれから御国のために最後の奉公に参ります。私の特攻隊への配属が決まった時、お母さんは大変悲しまれ、私を労わる長い手紙を書いてくれました。その手紙は今も私の懐に入っております。一方で私は特攻隊員という役目が私に与えられたことを大変誇りに思っています。父母に大切に育てられたこの命を、父母の命のみならず祖国の多くの人の命を救うために使うことができる。ならばその役目をしっかりと果たすために、できるかぎりの奮闘を行うことが今の自分の務めだと考えています。私は訓練中、志と運命を共にした多くの仲間たちに支えられました。彼らは皆気の良い奴らで、厳しい訓練を励まし合って乗り越えてきました。最後も彼らと一緒にいられることは心強いです。家族と仲間に恵まれ自分の職務を全うできる。それは幸せな人生ではないか。私はそう考えます。それでは皆様、なにとぞ達者にお過ごし下さい。
 特攻隊員は死を賭して国を守ることが義務であり、その恐怖や悲しみは言葉にできないほど大きなものであっただろう。しかし自分のことを心配し、大切に思っている人間に、そうした感情を剝き出しにしてさらに悲しませることはできない。自分の人生を肯定すること。それが家族に対する最大の思いやりとなる。だからなるだけ明るく元気な手紙を書こう。特攻隊員はそう考えて家族に手紙を書くに違いない。これが自分が手紙を書いた時の気持ちである。しかし一方、私たちの運命もこの特攻隊員と変わりはないのではないかと私は思った。明確な日時は定まっていないが、どんな人間でも死は避けられない。そのことを真剣に考えると、やはり意味のある人生を送らなければいけない、という気持ちになる。やり方は異なるが、与えられた自分の職責を全うし世のため人のために生きるべきだ。私は写真の隊員からそういう思いを受けったので、それに基づいて手紙を書いた。(797字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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