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【小論文解答】:2022年/順天堂大学/医学部/本試験

 パンゲア・プロキシマは超巨大大陸であるため、内陸部は海洋や河川からの水分供給が少なくなり、おそらくかなり乾燥する。現在以上に砂漠が広がり、潤沢な水に支えられた熱帯雨林や大森林はほぼ消滅する。また海流の移動が大陸に与える影響が少なくなることで高緯度地方および内陸部の寒冷化と低緯度地方の温暖化が進行する。つまりパンゲア・プロキシマは現在よりはるかに過酷な気候環境となり、人類を含む多様な動植物に甚大な影響を与えているだろうと私は推測する。
 一方でこのような過酷な環境であっても人類はこれまで培ってきた文明と科学の力により、現在ほど繫栄してはいないとしても、ある程度文明的な生活を維持していると思う。そしてこれまで海洋によって隔てられていた各地域の人々が陸続きによって近隣の存在となることで人種や民族の交流や混交が進み、私たちは「人類」という大きな一つの単位で自分たちのことを考えるようになるだろうと思う。何より、このような過酷な環境下で現在のように人種や民族がいがみ合い、戦争などを通してお互いを排除するような行為を継続すれば、人類はあっという間に滅びてしまうだろう。みんなで協力して、この困難な状況を乗り越えていかに生き延びるか、幸福な人生を享受するかということが最大の課題となり、その実現のために人々はチームを組んで知恵を出し合うようになるはずである。
 しかし、パンゲア・プロキシマのように大陸が一体化していなくても、本来私たちは協力して生きていかなければならないのではないかと私は思う。海洋で隔てられていても、私たちは「人類」として立ち向かわなければならない多くの問題に直面しており、その解決のためには各国・各地域がチームとなることが必須である。パンゲア・プロキシマが示しているのは、「未来」の私たちの世界の姿ではなく「本来」の私たちの世界のあり方なのではないか、と私には思えたのである。(794字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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