〔問1〕
素の自分とは違う新しい自分になり、その自分を通して他人との新たなつながりを得ようとしている。(46字)
〔問2〕
過去に自己の承認欲求に関して重要な他者との間で数多くの決定的な失敗経験を重ねていくうちに孤立感が深まるとともに、その原因を素の自分に対する低い自己評価に求めるようになったことにある、と言っている。(98字)
〔問3〕
私がこれまで薬物依存者に対して持っていたイメージは「自分の欲望に弱い人」というものだった。それは覚せい剤をはじめとした薬物自体の依存性が原因の一部でもあるが、自分の周りの人を悲しませたり傷つけたりしたくないという思いがあれば、薬物の誘惑を事前に絶ったり、依存状態になっても立ち直れるはずなのに、それよりも自分の欲望を優先させてしまうのだから、その人は弱い人なのだ。私はそう考えていた。しかし筆者はその弱さが他者から与えられたものであり、それでも何とかその弱さを自分で克服して他者との関係を取り戻したいという悲壮な思いによるものだと語る。同じ「弱さ」であってもそのありようは私と筆者では大きく異なる。そして筆者の語る「素の自分のままでは人の期待に応えられない」という思いは私たちにもある。その意味で薬物依存者と私たちにほとんど境界はない。そうした思いを持って彼らを理解する必要があると私は考えた。(397字)
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