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【小論文解答】:2023年/杏林大学/医学部/一般選抜/2月1日分

 「愚直であること」には良い面と悪い面が存在する。まず良い面について。愚直さは目標を達成するために最も重要な役割を果たす資質であると言える。自分を他の人と比較したり、周りの人々の言葉や考えに惑わされたりすることなく「いま自分のやるべきこと」と「これから自分のやるべきこと」に集中してコツコツと努力を積み重ねていく人間は、普通の人が心を乱されたり落ち込んだりする時間を全て「やるべきこと」に振り向けることができるので、その分より確実に目標を達成できると考える。私は比較的周りと自分を比較したり、周りの状況や言葉に惑わされたりすることが多いので、愚直さを身につけて自分のやるべきことに集中したいと思う。
 次に悪い面について。愚直さは「頑固さ」につながっており「変容」を嫌うため、基本的に他者に対する関心が薄く、新しい要素や別の可能性を受容する能力が不足していると考えられる。世の中には効率性や合理性を重視した方がうまくゆくことも多くあるが、そうした方法を「自分のやり方ではない」または「自分のペースが乱される」と考えて採用せず、結果として非効率で非合理的な選択を行い、実現を遅らせたり不可能にしたりするという事態を招く恐れがある。医師が患者の治療の際にこの「愚直さ」を発揮すると、場合によっては適切な治療を行えないこともあるだろう。自分が変容することを恐れず、積極的に新しい物事を取り入れる柔軟性を持つことも、目標を達成する時には必要である。
 よって「愚直であること」に関しては「使い分け」が重要だと私は思う。自分が怠けたい時や弱気な時には、愚直さの良い面を思い出して「いま自分のやるべきこと」「これから自分のやるべきこと」に集中して乗り越える。そして自分が自分のやり方やペースに固執している時には、愚直さの悪い面を思い出して「もっと柔軟に対処すること」「自分が変容すること」を大事にする。この使い分けを大事にして愚直さと向き合っていきたい。(816字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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