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【小論文解答】:2013年/東海大学/医学部/2月10日分

 ムンクが聴いた叫び声とは、人間の愚かさに対する怒りの叫び声であった、と私は考える。「叫び」の絵に添えられたムンクの語りの中で気になったのは「青いフィーヨルドと町の上に、火と血の舌が這い回った」という言葉である。この言葉から連想されるのは「戦争」や「自然破壊」といった人間の蛮行である。人間は自分たちの生命や権利、権益を守るために、他の人間や生物の命を平気で奪い、自然を際限なく破壊する。それは過去から現在に至る歴史の中で様々な事実を通して証明されていることである。同じ地球上を生きる共同体であるはずの人間は、他者への配慮や思いやりを欠いたままこれまで生きてきた。そうした人間の営みに対する自然の怒りを、ムンクは沈み行く太陽の赤い色の中に見、そして聴いたのである。ムンクが恐怖に震えたのは、取り返しの付かない人間の過ちの重さを、自然の大きな叫び声の中に感じ取ったからではないか、と私には思えたのである。
 ムンクはその恐怖を絵に残した。絵の中の彼の姿が歪んでいるのは、それが本当の人間の姿だからであろう。そして自然の怒りの声は私の耳にも届いているはずである。私はそれに耳を傾けなければならない、と思った。(496字)
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玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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