〔問一〕経験の積み重ねが医の倫理を育てる(16字)
〔問二〕
医師養成教育の大半が座学をきちんとこなすことでテストにおいて合格点が取れることを重視するもので、患者ときちんと向き合い苦悩を診なければならないことを自覚するための医の倫理の教育や、患者と良い対人関係を結ぶために必要なコミュニケーション能力向上のための教育を軽視しているため、器械を操りマニュアル通りのことを実践するだけで不都合を患者に責任転嫁するような医師群を生み出してしまっている、という問題点。(199字)
〔問三〕
私が「医」を志したのは、高齢化が進んだ地元の医療を何とか支えたい、と思ったことがきっかけであった。実家は田舎で大半の人が農業を営んでいる。子どもの頃はこうした人たちに随分かわいがってもらった。地元には2~3箇所しか病院がなく、そのうちの1つが私の実家であった。父は内科医をやっていて、毎日多くの患者が病院を訪れる。午前中は主に病院で診療を行い、午後は家で寝たきりになっている人の往診に出かける。最近は高齢化が進み、外出できない人も多くなり、往診の数も増えている。私はそうした地元の医療の現状を子どもの頃から見てきた。また病院に来られた患者の方から「この病院がなくなると地元で暮らせない」という言葉を何度も耳にした。父は私には多くを語らないが、そうした人々の思いを背負って医療活動を行っていることは、その背中を見てひしひしと感じた。こうした患者の方や父の思いを、私も自分なりに受け継ぎたかったのである。
もちろん、高齢者ばかりでは地域は成り立たない。若い人や子どもがいなければ、いずれ地域は衰退する。しかし病院のない所では人は暮らせない。他の場所から地元に戻って来る人々にも、病院は不可欠なのである。私は地元に戻ってこれまでお世話になった地元の人々に医師として少しでも安心して暮らせるための手助けがしたい。そのために勉強ばかりでなく、色々なことに挑戦経験を積み重ね、人間の幅を広げてゆきたいと考えている。(598字)
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