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【小論文解答】:2023年/愛知医科大学/医学部/2月3日分

 まず好意的意見としては、「残る桜も散る桜」とあるように、残っている桜も最後には散るのだから、桜に対して過剰な幻想を抱くことはよくないことであり、すべてはみな移り変わり無くなる、という世の無常を受け容れるべきである、というものである。次に批判的意見として考えられるのは、すべては散ってしまう、無くなってしまうと否定的に考えるのではなく、「散る桜」であるからこそ「残る桜」を愛おしみ、桜の花と共有しているこの一瞬一瞬の時間を最後まで大切にしようと考えるべきだ、というものである。
 いずれの意見も「散る」ことを事実として受け入れた上で、「散る」点を強調して「残る」ことに対する過剰な価値づけを戒めるのか、それとも「残る」点を強調して「散る」ことへの過剰な価値づけを戒めるのか、という点において相互に対立していると考える。
 最後に私自身の意見だが、基本的には批判的意見を支持する。桜の花を「人生」と置き換えて考えた場合、「人生は必ず終わるのだから人生に過剰な価値を抱くべきではない」というシニカルな立場よりも、「人生は終わるまで輝き続けるべきだから、お互いにその価値を認め、自己と他者の人生を愛おしんでいくべきである」という立場の方が私は好きである。寿命が短く、医療の力が小さかった良寛の時代ではなく、寿命が長く、医療の力が大きい現代の桜は、散る瞬間まで美しく輝いて良いのではないか、と私は考えた。(593字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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