中学生の時に、軽はずみな言葉で友達の心をひどく傷つけたことがあった。友達は激怒し「お前とは二度と口をきかない。絶交だ」と言って教室を出て行った。私は謝るタイミングを失い、翌日廊下ですれ違った時に友達に「昨日はごめん、悪かった」と言った。だが友達は無視して通り過ぎて行った。私は自分が犯した過ちの大きさに怯えつつ、一方で「謝って許してくれないなら、もういいや」という逆恨みのような気持ちを抱えて家に帰り、そのことを父親に話した。すると父親が見たことのない真剣な顔で私を見て「もう一回心を込めてちゃんと謝って来い。それで駄目ならその時は私がお前を許す」と言った。
その言葉を聞いて、私は自分のやったことに十分真剣に向き合えていないこと、相手がどれほど傷ついたかをまだ十分分かっていなかったことを反省させられると同時に、謝罪から逃げようとする自分の弱い心を父親に支えられた気がして有難かった。その夜、自分のやったことや相手の気持ちにもう一度向き合って謝罪の言葉を考え、その翌日の放課後に、もう一度友達に頼み込んで謝らせてもらった。すると友達は「わかった、このことは終わりにしよう」と言って許してくれた。
自分の良くない点に真剣に目を向け、真摯に反省し、改善しようと努力すること。相手の気持ちを常に考慮に入れて言動や行動を行うこと。自分の非を素直に認めて誠実に対応すること。父親の言葉から学んだことはたくさんある。もちろん、そのすべてを完璧に行えるわけではない。しかしそう心がけるようになってから、以前よりも他の人から信頼されることが多くなったような気がする。
私が将来医師として患者と接する際に、父親の言葉から学んだことは大いに生かされると思う。相手の尊厳を重視したコミュニケーションを行うこと。患者の気持ちや立場に寄り添って考えること。誠実に対応すること。それらを大事にして患者と向き合いたい。(792字)
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