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【小論文解答】:2023年/愛知医科大学/医学部/2月2日分

 この寓話が伝えようとしているのは、「多様性や固有性を無視して原理を追求し続けると、本当に求めるものが得られなくなる」という教訓だと私は考える。いい粉を割りよくひくためには、特殊かつ複雑な諸条件によって成り立っている対象を「全体」として捉えた上で、それがうまく機能するために必要なことをその都度対象に合わせて個別に調整することが大切である。ところがこの粉ひきはその諸条件の中から特定の要素だけを取り出した上で、それが全てを支配する「原理」だと思い込み、他の要素を軽視したために調整が不可能となり、結果として求めていたはずの「いい粉」を失ったのだ、と私は考える。
 次にこれを材料にして私が考えたのは、医師が患者を診る際には、患者の多様性や固有性を無視せず、全体として理解した上で個別に対処するべきだ、ということである。医師は自らの学んだ医学的知識という「原理」に基づいて患者を診断し、治療を行う。もちろんそれは大切なことである。しかし個々の患者にも、多様で特殊な「個別的事情」が存在する。医師がそうした点に留意せず、医学的な見地のみから患者の診断・治療した場合、求めていたはずの「望ましい結果」が得られず、患者も、そして医師自身も不幸にしてしまう。本文の記述を流用するなら「どんな病気も医療の力がなければ治せない」が、それだけを知っても病気が治せるわけではない、ということが教訓なのだと私は考えた。(596字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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