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【小論文解答】:2022年/愛知医科大学/医学部/1月27日分

 私が担当者なら、メールに対して感謝の返事を送り、両親の誘いには可能な限り応じるべきだとアドバイスする。なぜなら両親が相談者との関係改善を求めている以上、関係を改善するかどうかは相談者次第であるし、相談者が関係を改善しないのであれば、両親はこれからも相談者の嫌いな両親のままで居続けなければならないことになるからである。
 相談者は自己の体調や自己の性格に対する否定的な評価の原因を両親の不和、あるいは両親や家族と自己との不和に求めているが、それは逆に言えば両親との関係が改善すればそうした体調や自己評価の問題が解消する可能性がある、ということを意味する。そのきっかけが両親の方から与えられているのに、相談者がそれを受け入れないのは、自己の状況が良くなる可能性を自分で否定することに他ならない。そうなると自分を苦しめているのは両親ではなく、むしろ関係を改善しようとしない自分自身だということになる。
 相談者は両親や家族が自分に何をしてきたかということだけではなく、自分が両親や家族に何をしてきたかということもそろそろ考えなければならない年頃である。自分を一方的に被害者と決めつけるのではなく、その時の両親や家族の状況に思いを馳せ、許さなくてもいいので理解をすることは大切である。そして変わりゆく状況の中でこれからもう一度家族関係を築き直してもよい。そのカギは君が握っているのだと相談者に伝えたい。(594字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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