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【小論文解答】:2020年/愛知医科大学/医学部/1月30日分

 私はこれまでのことを謝罪した上で、軽度の知的障害のある兄弟の世話を条件にして兄弟から4000万円を借り受ける、という選択を行う。なぜなら私は亡くなった母の財産分与を受ける資格が自分にはない、と考えるからである。確かに法律的には私は母の遺産の半分である2500万円を相続する権利を持つ。また4000万円の負債の一か月以内の返済という状況を考えれば、本文にあるように兄弟を言いくるめて相続放棄させたり、配分比率を変えさせたりすることで、自らの会社と家族を救うこともやむを得ないかもしれない。
 しかし亡くなった母や障害のある兄弟の立場なら、絶対に私に遺産の相続をさせたくないだろう。もし私が彼らの立場なら、十年も実家に帰らず、ろくに連絡も取らず、兄弟の面倒も見ず、自分のことばかり考えてきた兄弟に対して、たとえどれほど困っていようが自分の蓄えてきた遺産を分け与えたいとは絶対に思わない。まず私はそのことをきちんと自覚した上で、自分がどうするかを考えなければならない。自分の家族を守るためには、まず必死になってこれまでの経緯を兄弟に謝罪し、自己の相続を放棄する旨を伝え、その上で改めて4000万円借り受けるお願いをすべきだろう。兄弟に知的障害があるかどうかは問題ではない。障害を持たない人と同じように扱うのは当然である。これを機に心を入れ換え、会社の経営も兄弟の面倒も家族の維持も死ぬ気でやる。これが私の選択である。(596字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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