感染症が負の連鎖を引き起こすのは、感染症の原因菌やウィルスが「目に見えない存在」だからであると私は考える。目に見えないものは、いつどこでどのように自分に襲い掛かってくるかわからない、という不安や恐怖心を引き起こす。そうした不安や恐怖を軽減するために、取り敢えず「目に見える感染者」を避けたい、という気持ちが増大する。これが感染者に対する嫌悪や差別、偏見につながってくるのである。また、感染症に対する不安や恐怖を「感染症は恐れる対象ではない」という思い込みによって解消しようとする一部の人々は、感染を避けるために必要な対策を放棄し、結果として感染症の拡散と拡大に手を貸す行動をとる。これらが感染症が負の連鎖を引き起こす背景であると私は考える。
この負の連鎖を断ち切るために私たちにできることは、正確な知識に基づいた適切な行動をとることである。不安や恐怖というものは対象に対する「無知」から生じる。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ということわざがあるように、感染症の正確な情報を知ることは、それに対処すべき自己の適切な在り方を示してくれる。例えばコロナウィルスならば、うがい、手洗い、マスク、ソーシャルディスタンス、感染者の隔離といった基本的な事柄を徹底すれば不安や恐怖の対象とはならないはずであるし、感染中の人や感染から回復した人への過剰な嫌悪や差別、偏見も持たずに済む。また、ワクチンを接種すれば大丈夫、といった安易な考えに走ることもないので、拡散や拡大は防止できると思われる。
私は将来看護の仕事に携わる者として、こうした心構えをしっかりと持って行動していきたい。感染症に感染した人、あるいは感染の不安があって病院に来た人は、感染症そのものに対する不安や恐怖とともに、他者からの嫌悪や差別や偏見に晒されるかもしれないという不安や恐怖も抱えている。彼らを心身ともに支えることが大切だと私は考える。(795字)
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