経済格差が健康に影響を及ぼす例として、糖尿病や高血圧といった生活習慣病になりやすくなるということ、また脳卒中や各種の癌になりやすくなるということが挙げられる。
要因としては、経済的に下位にある者は基本的に健康に気をつかう時間的・金銭的余裕を持たない、ということが想定される。彼らは労働環境が過酷であることが多く、また労働時間自体も長いことが多い。食事に関しても栄養バランスを考慮に入れる余力がないために、高カロリー・高脂質・低栄養のものを継続的に摂取することになりやすい。またデスクワークなどを主とした職種では運動する時間も取れないため、運動量が不足してメタボリックシンドロームの傾向が強くなる。さらに過酷な労働環境に由来する多大なストレスは、過度の食事・継続的な飲酒や喫煙といった悪習慣を招く。そして、実際に体調に問題を抱えていても、時間が取れないために健康診断等に行く機会が少ない、病院に行く時間がない、といった問題があり、結果として経済的に上位にある者よりも健康を損ないやすく、発症してもそれを回復させるために必要な手段を講じることができないのである。
こうした点を踏まえて考えられる対策として、私は医療の側のサポート体制の充実を挙げる。具体的には病院の診療日や診療時間に関する工夫と様々な予防医学的アプローチの実施の二つが考えられる。一つ目の点については、彼らの限られた休日や非就業時間を使って気軽に病院に来てもらえるように、それぞれの病院が連携しながら休日診療や時間外診療を増やす、ということが考えられる。もちろん現在でもそうした仕組みはあるが、経済格差による健康悪化の防止という観点から、その仕組みをさらに拡充していくことは重要である。また二つ目の点については、無料もしくは安価な健康診断制度を充実させ、これも実施日や実施時間等の工夫を行いながら、出来るだけ彼らの経済的・時間的負荷の少ない形で受診できるようにすることが必要である。また栄養士をはじめとした様々な領域の人々と協力しながら、安価でも栄養バランスのよい食事や、短時間でもできる運動、飲酒や喫煙以外のストレス解消法等について積極的に発信していくことで、彼らの健康悪化を少しでも予防することが大切である。私も将来医療に携わる者として、すべての人々が出来るだけ平等に健康でいられるために役に立つ人材になりたいと思う。(990字)
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