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【小論文解答】:2021年/北里大学/医学部/1月31日分

〔問1〕(※解答例)
認知症の人と接するときに知って欲しいこと(20字)
〔問2〕
症状自体は固定されておらず、状況によって調子のよい時と悪い時があるが、生自体は認知症になる以前の自己と連続しており、なってしまったら終わりではない、ということ。(80字)
〔問3〕
 認知機能の低下した患者に対する医療において私が重要と考えることは、まず患者自身と患者の症状を切り離して考えることだと私は考える。私たちは通常のけがや病気に対して、その当事者を怪我や病気と同一視して人間としてのあり方を問題にすることはない。しかし認知症のように患者の人間としての一貫性が疑われるような症状を目の当たりにすると、私たちは認知症がその人を「壊してしまった」ため、その人はもう「駄目になってしまった」といった考えを抱きがちである。だが本文で長谷川氏が述べているように、認知症になったからといって突然、人が変わるわけではない。私たちと同じように人間としての一貫性を維持しており、私たちと同じように感受性や感性を保持している。ならば医療に携わる人間は、認知症患者に対して通常の患者と同じように「対等性・平等性」を前提として向き合い、その上で医療人として何ができるかを考えていくことが大切である。
 また医師は認知症患者を一人の人間としてとことん受け入れ、寄り添い、ともに歩んでいく姿勢や行動を患者自身に明確に示すことが求められると私は考える。認知症患者にとってつらいことは、他者からまともな人間扱いをされないこと、存在を無視されたり軽く扱われたりすることである。彼らにそういった思いをさせないために、医師は病気の当事者としての彼らの言葉に耳を傾け、その思いに共感し、彼らの尊厳と自己決定権を尊重しながら治療を進めていく必要がある。そして医師のそうした態度や行動を通して、認知症患者は「価値のある存在」としての自己を取り戻し、高いQOLを維持したまま人生を前向きに生きられるようになるのではないかと私は思う。そして彼らが万が一症状のために取り乱しても、それを彼らの本質と捉えず、おおらかに受け入れて適切に対処することで、彼らは最期まで尊厳を保ったまま心穏やかに充実した人生を送れるのだと私は考える。
(796字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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