コミュニケーション能力の低下が指摘されている理由は、対面型のコミュニケーションの減少で相手に応じて臨機応変に対応する心構えが失われたことにある、と私は考える。
近年はモバイルやネットを介した間接的・文字使用的なコミュニケーションが主流である。このコミュニケーションは相手が限定的で時間や場所を気にしなくてもよいなどの特徴があるが、最も顕著な特徴は「生身の人間と向き合う緊張感がないこと」である。
ネットやモバイルでのコミュニケーションは音声や文字の内容が全てであり、ある意味「気軽」である。しかし対面型のコミュニケーションでは相手の表情や態度を通して「言葉の裏にある感情」を読み取る必要がある。さらに相手に馴染みがなかったり初対面だった場合、既存の「馴れ合いやお約束」が通用しない。こうした対面の経験が不足している現代の若者は、直接向き合ってコミュニケーションを行うことが苦手なのだと考える。
しかし看護職とは、こうした対面型コミュニケーションが最も重視される職業であると私は考える。単に言葉を交わすだけでなく、相手の表情や態度から思いを汲み取り、その思いに届くような言葉をやり取りする。そうしたコミュニケーションの積み重ねが患者と看護職との間の「信頼関係」を生み出し、患者の幸福につながる看護を実現する。
その上で現在の自分自身のコミュニケーション能力を振り返ると、やはりこうした対面型コミュニケーションの経験が不足していると痛感する。これまでの自分のコミュニケーションは身近な人たちとの限定的なもので、どちらかと言えば相手が「自分に配慮してくれる」ものが多かったように思う。これからは自分が配慮する側に回って「自分が相手にできること」を考えてコミュニケーションを行う必要がある。大学に入ったら色々なところに出かけ、色々な人と生身のコミュニケーションを行うことで経験を積んでいきたい。(789字)
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