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【小論文解答】:2014年/日本医科大学/医学部/本試験/2月13日分

 研究におけるデータ捏造事件が後を絶たないのは、結果ありきで物事を進めようとする研究機構や社会の圧力という外的要因と、本来の目的を喪失し誠実さやプライドを捨てて地位や名誉を手に入れようとする研究者本人の利己心という内的要因が相乗的に働いていることが背景にあると私は思う。研究結果が即利益につながる時代になると、研究も競争の原理の中で「速さ」を求められるようになり、期限が要求されたり時間のかかる研究が切り捨てられたりする恐れがある。研究者も自分の研究の予算が削られたり失職したりすることを恐れて結果を優先し、出なければ捏造してでも地位や名誉を維持し生き残ろうとする。この両者の相乗的な悪循環によって研究倫理が崩壊るすのだ、と私には思われる。
 こうした倫理の崩壊を防ぐには、まず「社会に貢献し人々に幸福をもたらすもの」という研究本来の目的や使命、そして「未知の事象の解明時期は確定できない」という研究の持つ性格を、研究機構や社会、研究者本人がきちんと共有する必要がある。社会は利益を過剰に優先せず、研究者に対して寛容さと金銭的支援を保ち続けるべきである。しかしそれ以上に重要なのは、研究者本人が研究者としての職業倫理を高く持って誠実に研究を行う姿勢を持ち続けることである。研究とは利己的な行為ではなく人々の幸福のために行うべきという原理原則を忘れずに、モラルを持って研究に取り組むとことが必要だと考える。(598字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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