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【小論文解答】:2014年/日本医科大学/医学部/本試験(2月14日実施分)

 下図の統計を見ると、まず昭和38年から平成24年までの間に救急車の出動件数が20倍以上に激増している。また平成10年ごろを境にして、救急車出動件数と搬送人数との間に差が開いてきている。高齢化が進み、救急車の搬送を必要とする人々の実数が増加した一方で、本来救急車の搬送を必要としない軽症の患者が安易に救急車の出動を要請していることが、下図から読み取れる。ここから考えられる救急医療の課題は、高齢化が進む中で出動件数の増加をどう抑えてゆくかということ、および本当に救急搬送の必要な人々の搬送機会を確保するために軽症患者の救急搬送をどう抑制してゆくか、ということである。
 前者の対策は2つある。1つ目は今以上に予防医学を徹底し、高齢者の疾病率を減らすことである。生活習慣の改善や運動の推奨により病気や怪我をしにくい健康な体を維持することで、救急車を必要とする状況を未然に防ぐのである。2つ目はかかりつけ医が中心となって高齢者を中心とした連絡網を整備することである。救急車を直接呼ぶ前に、本人や家族、身近な住人がかかりつけ医に連絡し判断を仰ぐことで、実際の出動数の抑制が見込まれる。後者の対策としては救急搬送の現状の周知が考えられる。搬送の必要な人々の存在を理解してもらい、軽症の自覚があるなら利用を控える、ということを広く啓発することで、救急車本来の役割である重症患者の搬送に集中できる状況を作ることが重要である。(598字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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