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【小論文解答】:2010年/獨協医科大学/医学部/本試験

 私の考える具体例は「Wiiスポーツ」である。コントローラーをラケットに見立ててテニスをしたり、ボードに乗ってスキーを体験できたりする。得られたものは、実際の場所に行かなくても部屋の中で気軽にスポーツが出来る楽しみである。失ったものは、実際の場所でスポーツをするために必要な訓練や苦しみ、そしてそれを通して得られる達成感や別種の楽しみである。しかしWiiでテニスをすることと、実際にテニスをすることとは違う。ラケットでボールを打ち返し、相手とのラリーを行わなければ、本当にテニスをしていることにはならない。「Wiiスポーツ」でこうした「仮想現実」と「現実」との違いを混同する人はいないだろう。しかし医療の場面ではこうした混同が起こる可能性がある。
 技術的に難しい「新手術法」を習得する際に、以前は実際の患者が多く犠牲になった。現在ではそうした手術のシミュレーターがあり、医師は3Dの画像を見ながら練習を何回も繰り返し、技術を習得することが出来る。だがそれは「画像としての患者」に慣れたのであって、実際の患者を同等に治療できることとは異なる。生身の患者は体の構造が微妙に異なり、しかも不安を持ち、痛みを訴え、失敗すれば修正できずに死ぬ。従って医師には「仮想現実」を「現実」に結びつけるために、生身の人間に対する想像力と責任感が必要となる。「現実」を「仮想現実」に結び付けないように気をつけなければならないと思う。(597字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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