日本では現在「家庭医」という形での医師は存在しない。また家族も「家族」という単位で一人の医師に診てもらう、という形で健康管理をする人はいない。家族は病気になると年齢・性別・さらには症状ごとに別々の病院で診察や治療を受ける。しかし各科ごとの医師数には偏りがあり、さらに患者数の増加や大病院志向もあって、大病院では緊急性の高い患者や重症患者を時間をかけて診られないという問題が起こっている。一方で軽症の患者は自分のことをよく知る医師が身近にいないために、大病院に行くか、個々の専門病院を別々に回るしかない、という現状もある。軽症の患者に迅速に対応できるような「受け皿」として考えられるのは「家庭医」であるが、日本の医療制度の中で「家庭医」を養成するようなシステムは存在しない。従って家庭医というジャンルも存在しないのである。
しかし「家庭医」を設置することは、医療の側にとっても患者の側にとってもメリットが大きい。医療側は効率的に患者を分配し、それぞれの症状の重さに応じた適切な治療を行うことが出来るし、患者側は自分の身体をトータルに診断・治療してくれる医師が身近にいることで、心理的にも身体的にも安心して生活できる筈である。医師や患者の負担を減らし、患者の健康に貢献できるという意味において、これからの日本には「家庭医」が必要であるし、そうした医師を養成できるシステムを作り上げることが重要だと思う。(597字)
※字数は無制限であったが、解答時間から600字程度と想定して記述した。
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