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【小論文解答】:2007年/愛知医科大学/医学部/本試験①

 私は医学部を卒業し、2年間の研修を終え、志望の科を小児科に決めた。しかし両親や親戚は、私の選択に対して強く反対した。その一つ目の理由は子供相手の治療が難しい、ということであった。大人を相手とする科であれば、例えば内科・外科・胃腸科・循環器科等の細分化された科の中で、専門的な知識を駆使して治療できるが、小児科は小児の体全身について、幅広い知識も持ち、子供特有の身体のあり方を踏まえて、的確に治療しなければならない、というものだった。しかし私にとってはそうした子供の、言ってみれば血液型のように類型化できない難しさこそが、やりがいに繋がっていると考えるのである。一人ひとりの子供の病状を、精密な時計の中を隈なく調べるように診断し、的確な判断を下し、健康を回復させることは、十分に意義のある仕事であると私には思えるのである。
また、二つ目の反対の理由は、子供は自分のどの部分がどのように悪いのかをきちんと伝えることが出来ない。そうした子供を一人ひとり丁寧に診察し、治療を行うのは、経営的な効率も悪い、というものであった。確かにそうかもしれないが、それもまた逆に私には魅力的なことに思えるのである。子供の言葉にならない思いに耳を傾け、丁寧に病状を探ってゆくことは、かき氷の山を崩さないように食べることと同じように難しい。だからといって医師を目指す人間が皆それを避けたなら、子供の健康は守れなくなってしまうだろう。きちんとコミュニケーションをとり、一人の人間として子供と向き合うことは、私の性にも合っているのである。さらに収入の面において多少不利な点があったとしても、私自身が絶対に平均以上の収入を得なければならないわけではない。お金を得ることは確かに重要だが、大事なことは、私が医師として何を使命とし、どのように社会に貢献するかということなのである。このようにして、私は両親や親戚を説得したのであった。(796字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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