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【小論文解答】:地域医療・在宅医療における大学・大学病院の役割について

 地域医療・在宅医療では、地域住民に対するきめの細やかな医療サービスの提供が求められている。地域住民のひとりひとりと密な関わりを長期的に続け、長期的な健康管理を通して幸せな人生に貢献することが、地域で働く医師の目的となる。そうした点を踏まえた上で、地域医療・在宅医療における大学・大学病院の役割として挙げられるのは、まず地域に貢献する優秀な医師の育成である。地域医療に従事したいという強い意思を持った学生を入学させ、総合医としての幅広い知識と技術を持った医師や、一流の技術を持った専門医として育て上げ、地域に送り込み、地域の医療水準を向上させることは、地域医療の中核を担う大学・大学病院として、最も必要とされる役割であることは間違いない。
 次に挙げられるのは、地域医療を担うにふさわしい人間性豊かな人材の育成である。地域医療とは医師が単独で行えるものではない。とりわけ在宅医療を視野に入れて考えるならば、地域で活動する様々な介護機関やスタッフ、往診の際の補助を行う看護師、リハビリを支えるPTやOTとの連携、さらには患者の家族との密接なつながりは必ず必要となる。そうした人々の集団をチームとして主導するためには、卓越したコミュニケーション能力や誠実さ、思いやりや責任感といった資質が必要となる。大学での授業や臨床実習といったカリキュラムを通して、そうした人間性を育て上げることは、非常に重要である。
 最後に挙げられるのは、地域の様々な病院の基幹病院として、大学病院が機能することである。大学病院は地域の様々な病院とネットワークを形成し、重症の患者や緊急性の高い患者をいつでも受け入れる体制を整えておく必要がある。それによって地域の病院との役割分担も明確となり、地域のプライマリーケアの充実が図られるのである。それはまた、地域住民が安心して地域での医療に自己の生命と健康を委ねるための根拠ともなるのだ。(796字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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