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【小論文解答】:地域医療の果たす役割(1)

 将来医師となる私にとって、自分がどれくらい「地域医療」に貢献できるかという問題は非常に大きい。もちろんそれは自分自身の問題であるとともに、地域の人々にとっても大きな問題であることは間違いない。都市ではなく地域に根ざした医師になるということは、その地域を支える自覚と責任を持って医療活動を行うということを意味する。
一口に地域といっても、そこには様々な人々が住んでおり、それぞれが健康上の問題を抱えている。妊婦の方は近くに産婦人科がなければ安心して子供を産むことができない。子供を産んでも近くに小児科がなければ安心して子供を育てられない。急病になっても近くに救急病院がなければ早急な処置を行えない。高齢者は長期的に診察してくれる信頼できる病院が近くになければ安心して生活や仕事を行うことができない。そうした不安を少しでも解消し、地域の人々が安心して生活できるためには、何でも相談できて、幅広い専門知識と高いコミュニケーション能力を持ち、常に自分たちのことを心配してくれる医師が身近にいることが必要なのである。その意味で、地域医療を志す医師は、自分の存在が地域の人々の生活を左右する鍵なのだ、という使命感を持って活動を行うべきである。
自分がそうした医師になるためには、まず地域の現状を理解し、なおかつ患者ひとりひとりの生活の状態を踏まえた上で、適切なアドバイスのできるコミュニケーション能力と共感力を持たなくてはならない。高い知識や技術は、こうした共感力があってこそ初めて人の役に立つはずである。現在は医師不足であり、なおかつ医師が偏在するという現状の中で、地域の人々の健康は危機的状況に置かれている。国や自治体がどのように支援するのか、という問題も大切であるが、私を含め、医師を目指す者が自分の職業の意味をもう一度問い直し、地域の人々の役に立つことの重要性を理解することが大切だと思う。(791字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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