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【小論文解答】:2010年/藤田保健衛生大学/医学部/本試験

 筆者は課題文の中で、人は一度にひとつのことしかできない以上、物事を複雑にして収拾不能にするよりも、一つずつ片付けて自分の能力を最大限に生かせるようにすべきである、と述べているが、私は筆者の意見に反対である。なぜなら物事を進めるときには同時進行で行った方が目標をより確実に達成できる例も世の中にはたくさんあると考えるからである。
 例えば夕食の準備をする際には複数の料理を同時進行で作らなければ間に合わない。一つ一つの料理を丁寧に作れば、確かにそれぞれの料理の質は上がるだろうが、通常の意味での食事は成り立たない。複数の鍋に異なる料理を同時進行で作るから、みんな一緒に食卓を囲むことができるのである。むしろ社会で役に立つために大切なのは、複雑な物事をうまく調整しながら同時進行で進め、万全ではなくても最大限の成果を得ることなのだと思う。
 もちろん、筆者の言うように目の前の一つ一つの事に集中したほうがうまく行くこともある。携帯電話をかけながら自動車の運転をすることが危険であることは言うまでもない。しかしそもそも自動車を運転するという行為自体が、複雑な事柄の同時進行であるとも言える。外部の状況と自己の動作に均等に注意を払いながら、複雑なままに事柄を進めてゆかなければ、安全かつ快適な運転はできないのである。したがって、人間の行為という大きな枠組みで「一つに絞って集中すること」をよしとする筆者の考えは、物事を単純化して考えすぎているという点で不十分な主張である。特に将来医師として患者を治療する私にとって、複雑な事柄を調整しながらやり遂げるための訓練はとても大切なことになると考える。(677字)


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玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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