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【小論文解答】:2011年/昭和大学/医学部/本試験/選抜Ⅰ期/2日目

 患者の立場から考える理想のチーム医療とは、自分のことを全人的な観点から捉え、チームの全員が同じ方針を共有した上で、協力して自分の治療にあたってくれるような医療である、と私は考える。医療を行う側は患者を診る際、病気のことだけに注意を払い、他の面を軽視しがちである。しかし患者とは、たまたま病気になった人間に過ぎない。当然個人としての過去を持ち、希望があり、生活に対するこだわりもある。そうした面を尊重し、尊厳を持って患者と接することで、患者は「人間として扱ってもらっている」という満足感を得る。チーム全体がそのことをきちんと理解して患者と接することが重要である。
 また患者は、自分に接する医療スタッフの考えが異なる場合、治療方針や現在受けている治療そのものに疑問を抱く。病院のスタッフは、自分自身の職責を十分に果たすと共に、それが結果として患者とどう関わり、どう回復させてゆくことに繋がるのかを、より大きな視点で共有した上で振舞うことが重要である。もちろんそのためにはスタッフ同士の密なコミュニケーションは必須となる。その際医師はチームリーダーとしての自覚を持ちつつも、自己の立場で一方的に指示するのではなく、それぞれのスタッフの立場を尊重し「治療」という観点から総合し、相互に協力してもらえるように再編成しなければならない。そうした理念の下になされる医療は、きっと患者を幸せにするはずであると私は考える。(598字)


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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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