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【小論文解答】:令和5年度/佐賀大学/医学部/推薦/問3

 医療や看護に従事する者にとって、著者のような考え方は、自己の使命を全うし、患者の幸福に貢献する人間としてふさわしい資質と努力を養成するために不可欠な「心構え」を常に喚起する、という意味を持っている。
 著者は事実に基づく新しい知識を求め続けること、つまり知識の継続的な更新を重視している。そしてそれを実現するために謙虚さと好奇心を持ち、既に手にした知識や考えに固執せず、自己の視野や知識の有限性を素直に認め、新しい考え方や知識を柔軟に受け入れて自己の視野を広げることが人生をより良く導き、快適に生きることを可能にすると述べているが、私も全く著者に賛成である。
 医療や看護に従事する者にとって、既に持つ知識を更新し続けることは非常に重要である。なぜなら新しい医療知識や技術の習得は患者の救命・回復・QOLの向上のすべてに直結するからである。医療知識や技術はそれ自体では患者を救えない。それらの知識や技術が、各医療従事者に吸収され、血肉となって実践されることではじめて患者を救うことができる。その意味で個々の医療従事者が知識や技術を更新すべきだという「心構え」を持っていることが大切なのだと私は考える。
 その心構えを支える資質として、著者の述べる謙虚さと好奇心は非常に重要である。そしてその謙虚さと好奇心は医療知識や技術だけではなく、患者や周りの医療スタッフに対しても開かれていなければならない。自分が医学的見地から持っている情報は、最適な医療を行うためにはまだ不十分であると考え、患者や周りの医療スタッフの言葉や思いに耳を傾け、十分に理解して、彼らとともにその時その時の医療の最適解を求めていく。医療人という立場に固執せず、患者のためにいかに自分の視野を広げ、新しい知識や技術を取り入れ、活用できるか。それがこれから医師となる自分に著者から求められた宿題であると私は感じた。この思いを忘れずにいたい。(795字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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