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【小論文解答】:2023年/東海大学/医学部/本試験/2月12日分

 エスカレーターは本来、階段を歩くという手間を費やさずに人を上下に運ぶという目的で作られたものである。それがいつの間にか「移動する階段を歩いてより早く移動する」という目的としても機能するようになり、この異なる目的の両方を満たすために人々はエスカレーターの階段を左右に分け、止まる人と歩く人の共存を図るようになった。しかし高齢化が進み、またノーマライゼーションが重視されるようになった現在、エスカレーターは本来の目的に戻ることが必要なのではないか、と私はこの文章を読んで強く感じた。
 エスカレーターに乗る人は止まる。急ぐ人は階段を使う。それを意識として徹底する。そのためにはエスカレーターを利用する人の「事情」を想像し、配慮することが必要である。想像や配慮が可能となるには、自分が高齢になった時、怪我などで移動がつらい時、何らかの障害を抱えて特定の側にしか立てない時、子供と一緒に横に並んでいる時に、傍を駆け上がったり駆け下りたりする人がいるとどれだけ困るかを、当事者に寄り添って考えることが重要となる。自分は元気だから階段を使う。急ぐときは早く準備する。それが当たり前になるといい、と私は考えた。(496字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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