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【小論文解答】:2023年/久留米大学/医学部/後期試験

 新型コロナウィルス感染症が高齢社会へ与えた影響として、コロナウィルスに感染すると高齢者の場合重篤化しやすく死亡する可能性もあることから、高齢者が外出を控えるようになったことを挙げる。日常生活においては、多くの人が行き来する場所、例えば駅、スーパーマーケット、行楽地などがコロナの「感染源」として避けられるようになった。特に病院は不特定かつさまざまな状況の人が「患者」として来院することから、コロナウィルスの感染可能性が高くなる。高齢者は自己の感染リスクを考え、以前のような生活を控え、外出機会を減らしたと考えられる。
 こうした状況は高齢者に様々な影響をもたらす。その中で最も大きいのは高齢者の健康に対する悪影響である。外出を控えると高齢者の運動機能は低下し、フレイルやサルコペニアの状態になりやすい。健康寿命を延ばすために必要な運動がなされないことで寝たきりになる可能性が増し、QOLが低下する。また継続的な診療・治療が必要な病気を抱えている高齢者が来院を控えるようになると、病気の悪化を見逃す可能性が高まり、高齢者の健康が大きく損なわれることになる。
 こうした影響に対する対策として考えられることの一つは、高齢者が外出しやすい環境づくりである。高齢者以外の人がマスクの装着や手洗い・消毒の習慣を継続することで、高齢者への意図せぬ感染を防止でき、結果として高齢者の生活と健康を守れるのだと理解し、積極的に協力する必要がある。二つ目はオンライン診療と訪問診療の充実である。診療や治療の継続が必要でも来院が不安という高齢者に対しては、オンライン診療を通じて継続的に様子を観察し、必要であれば訪問診療を積極的に行うことが望ましい。もちろんそのためには、医師だけではなくコ・メディカルの人たちとの協力が欠かせない。このような社会全体の対応により高齢者の生命と健康を守っていく必要があると私は考える。(793字)

※出題時はコロナが5類感染症へ移行する前なので、解答はその当時の状況に即して書いている。

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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