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【小論文解答】:2009年/自治医科大学/医学部/本試験

(問1)
 治らない病の患者に医師として対峙したとき、私はまず治療に全力を尽くしたいと思う。なぜなら病気が治らないからといって患者の命の価値が低下するわけではないからである。治らないと分かっていても、患者は最期の瞬間まで自分の人生を生き切る。その生には必ず価値がある。患者が自分の人生を意義あるものにするために、病気の進行を少しでも食い止め、痛みを緩和し、食事や日常的な動作になるだけ支障を感じない状態を維持し、万が一寝たきりの状態になったとしても、相応に納得した人生を送れるような対処を行うのが、医師の仕事なのではないかと私は考える。もちろん精神的な面においても、医師は患者を常に励まし元気付ける必要がある。一つの人生を背負ったかけがえのない存在として患者を尊重し、生きることに喜びを感じてもらうために、出来ることは何でもしたいと思う。そしてそれは結局、治る病の患者の場合と同様に行動する、ということなのである。(399字)
(問2)
 人生を水の泡にたとえ、人間を川の流れに乗った考える藻であると述べる筆者の死生観は、人間の真理の一面を捉えており、大いに共感できる。おそらく筆者の真意は「人は皆いずれ死ぬ」といった単純なことではなく、そのことを自覚することによって、逆に生きていることの価値を実感しながら「一瞬一瞬を大切に生きる」という点にあるのだ、と私は考える。しかし一方で、筆者は「自然の力」を過大に評価している、という印象も持つ。確かに世の中はなるようにしかならないと腹をくくれば、人事を尽くして天命を待つようなふっきれた生き方も可能になるのだと思うが、それは哺乳類のように生きることとは違う。人間には固有性もあり、多様性もある。一人一人の人生の選択が「不自然」であったとしても、それはむしろ「人間らしい」ことであり、決して悪いことではない。そうした不自然さを受け入れ、人間らしく生きることの方が、私には「自然」に思われるのである。(399字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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