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【小論文解答】:2013年/岩手医科大学/医学部/本試験

 筆者も述べている通り、医療の現場において、医療従事者は患者を≪生物学的な生命≫を見なして働きかけを行う。それは人間が、生物学的にはおおむね同じ構造を有しており、医療従事者は共通項として得られた知識に基づいて病気や怪我の対処を行うからである。例えば「胃ガン」は、患者がどのような人生を送ってきたのかによってその性質を変えるものではない。幸福な人生を送ってきた人でも、不幸な人生を送ってきた人でも、「胃ガン」は「胃ガン」であり、医師はその同じ「胃ガン」に対して手術や投薬といった治療を行う。
 しかしそれが同時に、≪物語られるいのち≫を軽視することにつながってはならない。人はみな固有性を持ち、かけがえのない人生を送っている。そしてどの人生もすべて価値があり、尊厳を有している。これが≪物語られるいのち≫ということの意味である。その「いのち」が「患者」としてやって来ているということの重みを、医療従事者は常に感じておく必要がある。その「いのち」を救うために、充実した物語を継続させるために、医療従事者は≪生物学的な生命≫としての患者を全力で治療するのである。このような観点から考えれば、医療従事者は同じ人のいのちに向って二重の見方をしているのではなく、「人生を生きる人」のかけがえのないいのちに向って、身体的側面から強力なサポートを行っているのだ、と言えるし、私もそういう見方のできる人間でありたい、と考えている。 (597字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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