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【小論文解答】:2023年/防衛医科大学校/医学部/本試験

 私は本文中の兄の生きる姿勢について2つのことを考えた。1つはその前向きさや必死さに対する深い感銘である。与えられた身体的・生命的条件の中で自分の人生や可能性を否定的に捉えず、自分にとって何が幸せなのかを常に考え、ついには「生き続けること」自体を自らの幸せとする。自分の人生の価値を自分で決め、それを信じ続ける。障害を持って生れ育ったことによる、想像を絶するような絶望と葛藤が彼を強くしたのかもしれないが、その姿を通して、私は彼ほどひたむきに生きているだろうか、と自分のこれまでのあり方を反省させられると同時に、生きることへの励ましを彼からもらった気がした。
 2つ目は自分の将来の仕事に対する強い覚悟である。医師は患者一人一人の価値観や人生観、尊厳を尊重し、受け入れるだけではなく、患者の人生や笑顔の可能性を広げることを目指すべきだと考えた。本文中の兄は限られた条件の中で自分の幸福を可能な限り模索し実現してきた。それはとても意味のあることだが、私が行うべきなのは、医療人として彼の人生の選択を広げるためにできることを考え、実行することだと思う。彼の人生を真剣に受け止め、もっと幸せになれるように、笑顔になれるように、自分のできることを一生懸命考え実行する。それは「患者に寄り添う」ことではなく「患者が寄り添える支えとなる」ことを意味する。自分がそうなれるように努力を続けていきたいと私は考えた。(596字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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