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【小論文解答】:2021年/東北医科薬科大学/医学部/本試験/1日目

 医療の進歩に関わらず治療法のない疾患により希望を失っている患者に対して、周囲のものはその人の尊厳を重視し、人生を価値あるものと思ってもらえるように関わるべきである、と私は考える。こうした患者が希望を失う原因として、自分に回復の見込みがないことに対する絶望感、痛みや苦しみや障害、場合によっては身近に迫る死と希望なく向き合い続けなければならないことへの精神的苦痛、そしてそれらの相乗効果で自分の人生自体に価値がないと思い込むことなどが考えられる。まずはそうした患者の苦しみに心身両面からのサポートを行うことが重要である。
 具体的に述べると、まず身体的苦痛に対しては医療の力により痛みを取り除いたりコントロールしたりして、これをできるだけ軽減することが必要である。次に精神的苦痛に対しては、まず患者自身のつらさや苦しみに真摯に耳を傾け、受け入れ、共感することが必要である。自分の言葉を真摯に受け入れる相手がいるということは、それだけで自分の存在価値に繋がるからである。次に患者を尊厳と価値を持つ一個人として扱い、そのかけがえのない人生を充実させるためのコミュニケーションやイベントを継続することが必要である。それは患者を特別な存在として扱うということではなく、自分の大切な友人のように扱うということである。こうした周囲のものの支えによって患者はだんだんと生きる希望を取り戻すのではないか、と私は考える。(598字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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