〔問1〕(※解答例)
医療における平等性とトリアージの考え方(19字)
〔問2〕
トリアージはあくまでも例外的な状況における救命方法であって、全ての患者を救うように全力を尽くすことが医療の大原則である、ということを医療者に伝えたかったから。(79字)
〔問3〕
ⅭOVID-19の世界的な蔓延は、万人に対する平等な医療を原則とする日常の医療の中に、トリアージの必要な非日常が転がり込む、という状況をもたらしている。何より莫大な患者とウィルスへの厳密な対処に割かれる人員と時間のために、通常の疾病を抱えた患者への対処が困難になりつつある。その中ではやはり文章にあるように「救命優先」という考え方で対処を行うことが重要となってくる。「命の平等性」という概念は、命があることを前提にしなければ成り立たない。そのためにはまず救命の必要な者の治療を優先するという方針をⅭOVID-19の罹患者およびそれ以外の患者に納得してもらい、協力を求めることも必要である、と私は考える。
一方で、ⅭOVID-19に対し、医療機関が継続的に人員と医療資源を割き続けることは、万人に対する平等な医療という医療義務を阻害し、結果として医療全体の崩壊という新たな問題を引き起こす恐れがある。特に直接的に救命の対象とはならないが、長期的にはQOLの低下をもたらすような生活習慣病や心身の不調などを抱えた患者、特に高齢者はこうした状況の影響を大きく被ると予想される。今後増え続ける「救命対象外の患者」へのサポートがおろそかになれば、重症化した患者が増加しても対処が困難となり、日本の医療の質は大きく損なわれることになる。
こうした状況を打開するためには、ⅭOVID-19を「日常の医療」へと還元していくための方策が必要だと私は考える。ウィルス研究を進め、ワクチンや治療薬を含む有効な対処法を早期に確立することで、人員と医療資源を割かずに済むような状態へと移行できれば、ⅭOVID-19の患者もそれ以外の患者も、それぞれ平等にサポートすることが可能となる。それによりトリアージ化した日常の医療が本来あるべき「平等性」を取り戻して、医師もまた医師本来の職務を行うことができる。そうした時代が早く訪れて欲しい。(797字)
※(「COVID-19」は7文字換算)
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