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【小論文解答】:2022年/日本医科大学/医学部/2月10日分

    この事案について私が考えるのは「いかなる選択にもリスクが生じるが、医師はそのリスクを合理的に判断し、そこから生じる結果に責任を負わなければならない」ということである。今回の事案では、院長が土石流リスクに対して一部の患者の命が失われることを覚悟で安全な場所に移動させ、土石流が起こらなかったために「無駄に人命を奪った」かのような非難を受けることになった。この非難を遺族から言われることは当然であり、院長は説明と謝罪をきちんと行うことが求められるだろう。しかし一部の医師が非難を行うのはおかしいのではないかと私は思う。
 なぜなら土石流リスクを軽視し、もし患者の移動を行わず、なおかつ土石流が起こった場合、失われる人命は患者・医療関係者を含め今回の事案の数倍にのぼっただろう。そうした各ケースのリスクの大きさを合理的に分析し、より被害の少ない選択を行ったという点で、院長の判断は適切だったはずである。だから「土石流は起こらず、患者だけが亡くなった」という結果だけを見て院長を非難するという態度に出た一部の医師は、自分が院長だったらどう判断するか、という想像力と責任が欠如していると考えざるを得ない。
 実際の医療の場面でも医師はリスクを比較し、合理的判断を行い、起こった結果に責任を負うことが求められる。そうした点を踏まえて考えれば、一部の医師が行うべきは院長の判断と覚悟に共感することだったと思う。(594字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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