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【小論文解答】:2022年/日本医科大学/医学部/2月11日分

 私たちはゲノム編集技術を、明確な倫理基準に基づいて利用する必要があると私は考える。その基準の1つは「外部環境に悪影響を及ぼさないようにすること」である。例えば遺伝子を改変された農産物や畜産物が外部環境と接触・交雑することで生態系が破壊されたり、問題のある変異が発生する可能性があるならばその編集は行ってはならない、という基準を設ける。よって編集の際には事前に詳細なシミュレーションを行い、外部環境に影響を及ぼさないように徹底するのである。もちろんこの基準は人間にも適用される。受精卵等への遺伝子改変が発生する子どもに目的外の予期せぬ問題や障害を発生させたり、母体に悪影響を及ぼすような恐れがあれば、その編集は行ってはならないことになる。
 2つ目は特に人間に対しては「防止」のための改変のみを認め「強化」のための改変を行ってはならない、という基準である。遺伝上の深刻な問題を抱えた状態で生まれてくる可能性が高い子どもの身体的・精神的負担を軽減し、人生の幸福に寄与するようなゲノム編集であれば行われてもよい。しかし親の望む外見や能力といった要素は、それが必ずしも本人の人生の幸福に寄与するとは限らないだけでなく、そうした「強化」を求める姿勢自体が「優生思想」に繋がるものでもある。人が持って生まれた条件の中で自分らしく生きられることを支えるためのゲノム編集のみを認める、という倫理基準が必要だと思う。(597字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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