【用語解説】:「死後移植」と「生体移植」と「脳死臓器移植」
■「死後移植」について。
〇「死後移植」とは?
①医師が死を宣告した後に(基本的に心停止後)臓器摘出と移植
が行われる。
②摘出対象臓器は腎臓・膵臓・眼球で、いずれも虚血(血流停止)
許容時間の長い(24時間)臓器である。
③腎臓摘出の場合、心停止前から機能維持のための措置を行う。
④眼球については、以前は遺体や遺族の尊厳を損う形での摘出が
あったが、現在ではそういったことはない。
■「生体移植」について。
〇「生体移植」とは?
①生きている健康な人間から臓器を摘出し、移植が行われる。
②摘出対象臓器は肺・肝臓・膵臓・腎臓・小腸。
③生きている人から摘出するので移植臓器は新鮮だが、健康な人の
身体に侵襲(メスを入れ、損なうこと)行為を行い、より不健康
な身体にする、という意味で「医療本来の目的に反する」行為を
前提にしなければ成立しない、という問題がある。
④よって、他の移植手段(死後移植・脳死臓器移植)が困難な場合
に代替的に行うのが基本である。
⑤しかし実際には死後移植や脳死臓器移植でのドナーが絶対的に不
足しているため、生体移植に対するニーズは高い。
■「脳死臓器移植」について。
〇「脳死臓器移植」とは?
①脳死(※今回は説明省略)状態の人間から臓器を摘出し、移植が
行われる。
②摘出対象臓器は心臓・肺・肝臓・膵臓・腎臓・小腸。
③基本的に脳死者1人から複数の臓器が摘出され、複数の人に移植
が行われる。
④「脳死を人の死と定義してよいか?」という倫理的な問題がある
(※法律では脳死は人の死であると認められている)。
⑤日本ではドナーの数が絶対的に不足しており、有効な移植手段と
しては機能していない。
⑥厳格な脳死判定(※日本は非常に厳格である)には時間がかかり、
しかも判定と摘出・移植を行える病院(施設)も限られていると
いうことも、日本で脳死臓器移植が普及しない一因となっている。
■「日本における移植の問題点」について。
〇「日本における移植の問題点」とは?
①すべての移植において、ドナー数が絶対的に不足している。
②移植希望者(レシピエント)が数年から十数年の「移植待ち」とな
っており、移植が間に合わずに亡くなるケースも多い。
③待ち切れない人による「海外移植」の希望も多く、それにまつわる
トラブル(例えば金銭関係のトラブルや、現地の移植希望者の機会を
奪っているという問題)も多くある。
- 関連記事
-
コメント