人のコミュニケーションにとって大事なことは「他者に対する想像力」であると私は考える。本文では、コミュニケーションの際に自己の想定する前提が通用しない例が挙げられている。自分が正しいと思っていたり、当たり前だと思っていたりすることでも、相手にとっては全くそうではないことがある。そうした場合に、自分の考えの正当性を疑い、相手の考えや立場を尊重するという想像力を働かせて向き合うことで、コミュニケーションは相互理解を促し、私と相手は対等な人間同士としての信頼関係を築けるのである。
こうしたコミュニケーションのあり方は、医療現場、特に臨床の現場において特に重要となる。医師は自己の医療的な知識と経験の蓄積に基づいて、患者に対して適切なアドバイスを行っていると自負しがちである。しかしそのアドバイスがどれほど正しくても、それが患者の人生観や価値観を尊重するものでなければ、患者は医師の言葉に納得せず、受け入れないこともある。それは患者がわがままなのではなく、医師の方が相手の立場を理解しようとしないことが問題なのである。患者の言葉に耳を傾け、その人生観や価値観に共感し、双方の立場の違いを埋めながら「最適解」を模索していく。そうした心構えとアプローチとが、これからの医師には強く求められる。私も未来の当事者として「他者に対する想像力」を大切にしながら本当に患者のためになる医療活動を行っていきたい。(594字)
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