【用語解説】:「安楽死」と「尊厳死」
■「安楽死」について。
〇「積極的安楽死」とは?
①致死性の薬剤を服用・投与させ、患者の死期を意図的に早めることでもたらされる死。
②末期患者の自発的意思が前提となる。
③医師の介在が不可欠なので、実質的に医師は「自殺ほう助」を行うことになる。
④この自殺ほう助を非犯罪化し、積極的安楽死を合法化した国・地域の内部のみで行う
ことが可能である。
⑤現在積極的安楽死を合法化している国はスイス・ベルギー・オランダ・ルクセンブルク
・スペイン・カナダ等。
⑥現在積極的安楽死を合法化している地域としてはアメリカの一部の州(オレゴン・
カリフォルニア等)、オーストラリアの一部の州(ビクトリア)がある。
⑦日本では現時点で禁じられている(行った場合は「犯罪」となり、刑法に基づく処罰
の対象となる)。
〇「消極的安楽死」とは?
①不必要な延命措置を排除することで、自然状態に近い形で患者にもたらされる死。
②末期患者の自発的意思(一部家族等の意思)が前提となる。
③具体的には人工呼吸器の不使用、心肺蘇生、血液透析、抗がん剤の不使用など。
④世界で一般的に普及した概念(および措置)である。
⑤事前に書かれた「リビングウィル」による意思表示でも可能である。
⑥日本で一般的に「安楽死」という場合、「消極的安楽死」を指すことが多い。
■「尊厳死」について。
〇「尊厳死」とは?
①患者本人の「尊厳」が守られた死のこと。
②尊厳の中身は「患者本人」の価値観に依拠するので、本来的には「積極的安楽死」で
あっても「消極的安楽死」であっても「延命の果ての死」であっても尊厳死となり
うる。
③しかし日本で現時点で可能なのは「消極的安楽死」と「延命」だけである。
④日本では「安楽死=尊厳死=消極的安楽死」と捉えられがちだが、医療人はそうした
先入観(思い込み)を持たずに、患者の人生観・価値観・尊厳に対する考え方に
基づいた「尊厳死」をその都度考えて(法律の範囲で)処置を行うべきである。
■「安楽死」と「尊厳死」のこれから。
〇日本でもこれから「積極的安楽死」を認めていくべきか?
①基本的には〈「自己決定権=死ぬ権利」の尊重〉という観点から認めていくべきで
ある。
②よって「積極的安楽死の合法化」に向けた動きが進むことが望ましい。
③一方で、適切な「ペインコントロール」によって「耐えがたい苦痛から解放される
可能性」もあるし、「医療の進歩」によって「終末期と思われた患者が回復する
可能性」もある。そうした場合、患者の自己決定の内容が変わる場合もあるので、
医療従事者はそうした〈多様な選択肢=最新の医療知識〉を持って対処すべきである。
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