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【小論文解答】:2012年度/北里大学/医学部/本試験

(問1)省略
(問2)
作者の考える終末論的思考とは、世界が終わることを信じ、それを前提として繰り広げられる思考法である。具体的には元ハンセン病者が死後の未来を子供に託すことが出来ない状態で「終わり」を視野に入れながら自分の生を充実させ、多彩な他者同士の共生を目指したり、核という自殺装置を手に入れた人類が日常の中に「終わり」の遍在を自覚したうえで現在の生を充実させ、価値観の違いを超えた共同体を目指すような考え方である。(198字)
(問3)
 核時代にあって、医師としてできることは、核エネルギーの解放下で自分もまた他者と同様に「終わり」を迎える可能性のある一人の人間として、人類が未来に生きるに値することを信じつつ、そのために出来る努力を全力で行うことである、と私は考える。
 筆者が問題文で述べているように、核の力によって世界の終わりを自分たちの力で迎えられるようになった人間は、自分たちにとってふさわしい未来を選択し、場合によっては自らの手で未来を葬ることも可能となった。しかしそれは同時に、自らの生のあり方を問い直し、より良い未来を作り上げてゆく義務と責任を自覚して日々を充実させるきっかけを与えることにもなった。医師が職業として出来ることは、今も昔も当然医療活動だけである。だが核時代にあって、医師はそうした医療活動に向き合う自己の姿勢そのものを再検討し、自己の職業の意味をより深く追求しながら、「終わり」のある時代を生きる当事者として真摯な姿勢で医療活動に取り組むことが求められることになったのだとも言える。
 そしてこの医療活動への真摯な取り組みは、結果として患者を含めた現在・未来の人類の生の充実に貢献することにもなるのである。筆者の考える価値観を超えた都市共同体とは、医師を含めた全人類の自己の生に対する真摯な努力によって形成されるのだと私は考える。そうした価値ある未来を信じて、私もまた自分なりに努力を重ねてゆこうと思う。(592字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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