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【小論文解答】:医師たるもののあるべき姿(2012年/久留米大学/医学部/推薦試験)

 私の考える「医師たるもののあるべき姿」とは、まず目の前の患者に対して、全力で治療にあたる姿である。医師は治療を行う者であり、治療を通して患者の命や健康、そして幸福を守る者である。自分の行う治療が患者の人生を大きく左右することを十分に自覚し、責任感と使命感を持って患者の治療に携わることは、医師として最も基本的で最も重視すべき職業倫理である、と私は考える。もちろん、患者に対するそうした職業倫理を十全な仕方で実現するためには、それにふさわしい医師としての知識と技術を備えていなければならない。医師は自己の知識と技術の向上を、妥協なき意志を持って生涯続ける覚悟を持っていなければならない。特に地域の総合医的な役割を求められている現在においては、専門的な知識に長けていることはもちろんのこと、あらゆる年代のあらゆる病気や怪我に対処できる基本的な知識や技術を有していることが必要である。もちろんこれらは大変なことであるが、こうした姿勢の堅持がまずは患者との信頼関係の第一歩なのだと私は思う。
 また、患者に対して最善の治療を行うためには、単に患者の身体的側面だけではなく、精神的な側面や社会的背景、人生観などを十分理解し、尊重する必要がある。そのためには患者との密なコミュニケーションを通して患者のことを知ることが重要であるが、そうしたコミュニケーションの根底には、医師として患者の尊厳とQOLを重視する、という積極的な意思表示、つまりは人間として敬意を持って相手と向かい合うという誠意を示すことが重要である。これは「一人の人間として他者をどのような存在と考えるか」という、人間性の根底に関わる問題であり、その意味で医師は「自己の人間性を磨く」ことも求められているのだと言える。患者が自己の人生を守るための最後の砦として、医師である私を頼る時に、それを守り通せるだけの力と覚悟とを持てる努力を、私も積んでゆきたい。(797字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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