高齢者は基本的に「高齢」そのものを原因とした様々な病気を抱えて生きている。生活習慣病である高血圧症、糖尿病、その他内臓疾患、および癌などがその最たるものである。また神経痛やリウマチ、関節障害、骨折等の骨・筋肉・神経系の罹患率も高くなる。また認知症といった精神生活に関わる疾患も発生する。こうした病気や怪我が高齢者から生きる気力を奪い、寝たきりや高介護といった状態を生み出すのだ。
疾患を抱えていてもなるだけ高齢者が地域社会の中で自分らしく人生を全うできるために「自立・自活」できる状態が「一病息災」「多病息災」である。それは「無病息災」とは違った価値を持つ健康観であり「健康寿命」とはこうした健康観に基づく生活を実現できている高齢者の状態を指している。病気があっても自分のペースで仕事が続けられる、笑って暮らせる、一通りの家事ができる、知人や友人と楽しく過ごせる。それらができれば「健康」であり、その「健康」は充実した人生に直結する。
私は将来医師としてこうした高齢者の「一病息災」「多病息災」を、他のコ・メディカルの人々と連携しながらきめ細やかな医療的なアプローチを行うことで支えていきたいと思う。高齢者の「健康」な生活の維持のためには、医療だけでなく看護・介護・行政・近隣住民・患者の家族等の様々な協力関係が必要である。これらの人々が緊密に情報交換をしながらそれぞれの役割を果たすことで高齢者の人生は守られる。
さらに在宅医療に特化して考えれば、AIの活用も高齢者の「一病息災」「多病息災」に大きく貢献すると思われる。直接往診に行けなくてもスマホ画像等を通して毎日定時に健康状態の管理ができることは、医師にとっても高齢者にとっても心強いだろう。私も地域の一員としてこうした役割を果たせるよう努力するつもりである。(795字)
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