新型コロナウィルスの脅威はこれまでの地域医療のあり方に色々な困難を生じさせている。その中で一番心配されるのが「直接的な診療機会の減少による病気の悪化や衰弱の進行」である。病院での感染を恐れて検診を受けようとしなかったり、定期的に来院していた患者が来院を控えたり、持病が悪化しても来院しなかったりすると、適切な診断や投薬が行えなくなり、結果として地域住民の健康状態が著しく損なわれる恐れが出てくる。
また既に衰弱の進んだ患者が対象となる在宅医療では、問題は一層深刻となる。メディアで報道される医療従事者のコロナ感染のニュースは、往診に対する患者の不安を増大させ、一方で患者およびその家族がコロナに感染すれば、今度は医療従事者からのアプローチも難しくなる。これらはいずれも患者の健康およびQOLを著しく低下させ、医療従事者が本来果たすべき在宅医療の役割を果たせないという大きな問題を生じさせてしまう。
こうした点を踏まえたコロナ時代の地域医療は「医療機関でのコロナ感染の防止の徹底」による来院時の安全性の確保と、「オンライン診療による密接な状況の確認と適切な指示」による健康とQOLの確保が焦点になると私は考える。前者は来院する予定の患者や家族に事前に体温や健康状態を伝えてもらうことや、入り口での消毒や検温の徹底等が考えられる。医療従事者側は当然感染防止を強く意識して日常生活を律することが必須となる。
また在宅の患者に対してはオンライン医療を充実させ、患者の状況を密に確認できる環境を作っていく必要がある。体温や脈拍のみならず、患者の身体の状況をきちんと確認できるツールの開発が急がれる。もちろんそのツールの使用に際しては家族をはじめとしたコ・メディカルの方々の協力が重要となる。コロナ時代であってもこれまでの医療の質を落とさない工夫が、将来の私を含めた医療従事者に求められているのだ、と私は考える。(792字)
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