人工知能の発達により医師の役割は変わらないと私は考える。医療分野での人工知能の役割としては、情報処理能力向上による医療技術や新薬開発の進歩や促進、ビッグデータを活用した診断や投薬サポート、さらにデータの蓄積による検査精度とスピードの向上が考えられる。こうした人工知能の支援によって医師は診断から治療・処方に至るプロセスの労力と時間を大幅に縮小できるだろう。それは一見医師の役割や存在価値の減少を意味するかのように見えるが、医師の役割としての本質的な部分は変化していないと私は思う。
医師には可能で人工知能には不可能なことがある。それは「心を通わせること」と「責任をとること」である。人工知能は患者の言葉を「情報」として処理することはできるが、その背後にある「思い」を理解することはできない。しかし患者が語るのは、自分の「思い」を伝えたいからなのである。それをきちんと汲んで、「最適解」ではなく「その人にとって最善の治療」を考え、責任を持って決断することが可能なのは、人間である医師だけである。そこから生まれる「信頼関係に基づく治療」という医師の役割は、これまでも、そしてこれからも変わらないと私は考える。(498字)
- 関連記事
-
コメント