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【小論文解答】:いのちの重さは誰が支えるのか?(2014年/岩手医科大学/医学部/本試験)

 「人の命は地球よりも重い」という言葉は、医療に携わる者にとって肝に銘じるべき意味を持っている。ここで言う「人」とは、単に人間という抽象的な概念ではなく、この地球上に住んでいる一人一人全てに当てはまる。医療人はどの命も等しく尊いものと考え、病気や怪我で苦しんでいる人に全力で手を差し伸べなければならない。また、こうした言葉の意味するところを実現する際に、日本に「国民皆保険制度」があるということはやはり大きな意味がある。課題文には医者を呼ぶこと自体が非常に贅沢だった時代の例が挙げられているが、「国民皆保険制度」のおかげで人々にとって医療が身近なものとなり、助かるべき命が増えていったことを思えば、現在の医療は大変恵まれたものであると言える。
 しかし、「いのちの重さ」は、医師や制度の努力によってのみ支えられているのではない。健康保険を支払う国民や医療費を支払う患者の側の協力がなければ「国民皆保険制度」を維持することはできない。安易に「国民皆保険制度」を利用して医療の恩恵に与ろうと考える人々が増えれば、医療費は無際限に増大し、医療を支える財政が破綻してしまう。つまり日本の恵まれた医療制度を持続させるためには、こうした医療制度と向き合う国民の側の「意識のあり方」もまた重要となる。いざという時に病院を利用できることを支えに、国民の側も自分自身で健康を維持するための努力を行うことが必要なのだと私は考える。(598字) 
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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