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【小論文解答】:2021年/獨協医科大学/医学部/2月9日分

〔問1〕
セレンディピティとは思いもかけない偶然から新しい発見が導かれるという創造的思考の賜物である。セレンディピティ的現象は日常的・心理的な場面でときどき経験され、副次的に得られる知見によって新しい関心の芽が出る場合もある。このようにセレンディピティ現象は中心的関心よりも周辺的関心の方で活発に働くが、これを応用して目的の課題を一旦周辺部に移し、思考の自由な働きの中でテーマの解決を求めることも可能である。(199字)
〔問2〕
 セレンディピティ的な発想は、医師が患者と向き合う際に必要な資質であると私は理解した。本文に「対象そのものの究明をひとまずおいて、まったく違うものの関係を発見し、類推を成立させる」という記述があるが、病気の特定や治療法についても同じことが言える。客観的に捉えられるデータや、病気に関する患者からの情報だけでは、どのような病気なのか、なぜこのようなことになっているのかがよく解らない場合もある。そこでこの「中心部にあるテーマ」を一旦周辺部にずらし、患者の近況について他愛のない話をしてみる。そうした気軽な話の中に、病気や治療に関わる重要なヒントが隠れている可能性がある。これを意図してできるのがセレンディピティの能力が高い医師なのだと私は思う。推理小説や探偵小説などでも、事件の解決の核心は何気ない会話の中で語られる。私もセレンディピティの能力を得られるよう、会話力と感受能力を鍛えていきたいと思った。(398字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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