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【小論文解答】:2021年/東海大学/医学部/2月13日分

 私はこの頭像を見て「人の心の中はみなこんな顔をしているのではないか」と感じた。私も含めて、人は何らかのつらさや苦しみ、怒りや憂いを抱えて生きている。でもそれらを顔に出して暮らしている人などほとんどいない。笑ってごまかしたり、平気な顔をしたりして、人は平穏に見える暮らしを続けていくのである。筆者はこの頭像を「真の意味での肖像とはいえない」と言っているが、それはたぶん「肖像ではなく心の像」だからなのだと思う。帯状の紐でふさがれた口は頭像が実像ではなく比喩であることの証拠である。
 医師には患者の顔の奥底にある「頭像」を読み取る技量が求められる。病気や怪我は単に物理的な苦痛だけが問題なのではない。病気や怪我がもたらす心理的な苦痛や社会生活における困難が、患者の人生にのしかかってくる。医師はそうした患者の困難を察し、共感し、口に付いている帯状の紐をゆっくりと解く役割も担っているのではないかと私は思う。患者が心の中の口を開けられるように、医師は患者の人格に敬意を払って向き合い、患者の言葉を待つ。患者の爆燃は小さなため息となってやがて消えていく。私はそういうことのできる医師になりたいと思った。(495字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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