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【小論文解答】:2009年/産業医科大学/医学部/本試験

 障害を背負っても、絶望の闇から一筋の希望の光を見つけて生きようとしている人のために、医療従事者は身体的・精神的側面からその生を支えることができる。まず身体的側面から考えると、いくらかでも回復の見込みのある障害については、新しい手術法や治療法を確立し、あるいはリハビリを行い、障害による負担を軽減させることができる。回復の困難な障害については、そうした障害を抱えつつ社会の中である程度自立して暮らせるように、様々な支援具を開発・改良することでQOLの向上を図ることができる。具体的には義手や義足・車椅子をはじめとして、視覚・聴覚支援、ユニバーサルデザインの情報機器などが彼らの社会参加を補助し、生き甲斐を感じるきっかけをもたらす。つまり身体的側面からの支援が、間接的に精神的な充足をもたらすことに貢献することになるのである。
 その一方で、精神的側面からの支援が、自己の身体機能の回復・向上に貢献することもある。障害を持って生きていると、健常者と同じようにできない、以前の自分と同じように行動できないもどかしさから絶望しがちである。医療従事者はそうした障害者の言葉に耳を傾け、共感し、苦しみを分かち合い、その上で障害者の生を肯定することにより、障害者は生きる意味を見出し、身体機能の向上に前向きになることもある。医療従事者はこうした相互関係を踏まえ、彼らを全人的なレベルでサポートできるのだ、と結論付ける。(597字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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