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【小論文解答】:2021年/日本医科大学/医学部/2月11日分

 医療の中で真実、つまり悪い知らせを伝えることが患者をひどく傷付けるか、それとも患者の心を温かく潤すものになるかは、医師自身の仕事に対する自覚の有無次第であると私は考える。医師はけがや病気を治療するのが仕事であるが、それと同時に患者の人生に寄り添い支えることも重要な仕事である。よってそうした自覚を持つ医師は、悪い知らせを伝える時にも「自分にはまだやることがある」「患者とともに歩む」という思いを持って患者に伝えるだろうし、自覚を持たない医師は「自分の役目は終わった」「あとは患者の人生」という思いを持って患者に伝えるだろう。そして言葉を受け取る側の患者は、そうした医師の思いを敏感に感じ取り、感謝したりショックを受けたりするのだろうと思う。
 この事例はまた、医師が患者をどのような存在と考えるべきかについて重要な示唆を与えていると私は考える。患者は患者である前にひとりの人間であり、相応のかけがえのなさと尊厳を持っている。ひとりの人間にとって、健康や生死は自分の人生の意味や価値に大きな影響を与える。そして医師もまた、そうした人生の重大局面を左右する影響力を持って、患者とともに事態と向き合っている。そうした自覚を持って、自分は決して患者を見捨てない、支えることを決して諦めない、という思いを持って真実を伝え、最後まで患者と歩み続けること。それもまた医師および医療の大きな仕事なのだ、と私は考える。(596字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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