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【小論文解答】:2021年/福岡大学/医学部/本試験

【問1】
 日本と諸外国の大きな違いは、結核に対する予防や対策がほぼ確立している2000年の時点においても日本の結核死亡率が一番高い、という点にあると私は考える。医療環境や生活環境に差が存在しない状態で有意な差が生じている場合、それが最も注目すべき問題を示しているはずである。そしてその背景には「高齢化の進度」の差があると私は考える。高齢になると身体が弱り免疫力も低下する傾向にある。よって一旦結核に感染した場合には他の年齢層に比べて重篤化しやすく、死に至る可能性も高くなる。「人口10万」の中で高齢者が占める比率が高ければ必然的に結核死亡率は高くなる。これが日本が現在でも結核死亡率の高い原因であると私は考える。(299字)
【問2】
 感染症との共生には人間側の努力が不可欠だと私は考える。筆者は結核を例に挙げながら、病原体の「病原性」は社会の変化や人々の暮らしぶりによっても変わると述べ、またHIVのシミュレーションを通して、人々の行動がウィルス株を選択する圧力になり「弱毒化」をもたらすことでウィルスとヒトとの安定した関係が築かれていくと述べているが、私も同感である。感染症に対してワクチンを開発したり対症薬を作り出したりすることは大きな効果をもたらすが、それらへの依存はウィルスの新たな変異のきっかけとなり、場合によっては共生のバランスを壊すような事態を招く恐れがある。大事なのは人々が日頃から感染を回避するような行動を選択することではないかと思う。日頃からのうがいや手洗いの徹底に加え、流行の兆候がある場合には人混みを避け、マスクを着用し、ウィルスが自ら「弱毒化」を選択するように仕向けることが共生のためには必要だと私は考える。(399字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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