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【小論文解答】:2021年/久留米大学/医学部/後期試験

 我が国の予防医療は、急速に進む超高齢化社会に対応する形で行われる必要があると私は考える。超高齢化がもたらす問題としては「健康寿命と平均寿命」との間で苦しむ人々の増加が挙げられる。現在、健康寿命と平均寿命との間には10年ほどの差があり、高齢者は抱える疾患の増加や悪化、体力の低下によって徐々に生活の質を下げ、充実した人生を送ることが困難になる。これらの問題に対して予防的に対策を行い、健康寿命と平均寿命との差を出来る限り小さくすることで、高齢になっても元気で幸福な生活を続けてもらえるようにすることが、我が国の予防医療における最も重要な目標となると思われる。
 具体的な対策としては2つのことが挙げられる。1つ目は「早期からの継続的な健康指導による生活習慣病の防止」である。先に高齢者の生活の質を下げる要因として「抱える疾患の増加」を挙げたが、その大半は癌・脳血管疾患・心疾患・糖尿病といった生活習慣に由来する病気である。こうした疾患にならないためには長期にわたる生活習慣の改善が求められる。禁煙・節酒・バランスの取れた食事・規則正しい生活・適度な睡眠と運動等の指導によって、まずは生活習慣病にかかる可能性を減らすとともに、既にかかっている人の悪化防止や改善に努めることは、生活の質を維持・向上するために大変重要である。
 2つ目は「フレイル防止のための筋力維持」である。高齢になると筋肉量が低下し、それが運動不足・食事量の低下・さらなる筋力低下という悪循環に陥る。それが自立的な生活を困難にし、寝たきりの状態を招く。こうした悪循環を防止するために、適切な運動の指導と実践・食事指導などをPtやOt、栄養士の方々と協力しながら行うことで、出来る限りこれまで通りの日常生活を高齢者に送ってもらえるようにすることが重要となる。こうした点を念頭に置きながら、私も超高齢化社会の支えとなれるよう努力していきたい。(795字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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