社会的セーフティーネットの網から漏れ命を落とす人がいるという問題資料に関して、私は医師を志す者として、医師も社会的セーフティーネットとして機能できる面がいくつもあるし、自分もその一翼を担う者として尽力するべきである、という思いを強く持った。
医師は医療活動を通して地域と密接に結びついている。病院には多くの人が訪れ、継続的な治療のために定期的な来院を必要とする患者も多いだろう。その際、例えば地方自治体と連絡を取り合い、継続的な治療が必要でありながら定期的な来院が途絶えた患者の情報を提供し、所在や状況を確認してもらうといったことは可能である。また往診で患者宅を訪れる際にも、予定していた往診時に家からの応答が無かったり、新聞や郵便物の異常があったりした時には地方自治体に通知する、といった形で状態を確認してもらうことができる。これらはもちろん本人のプライバシーに配慮しつつ行われなければならないが、身体的問題を抱えた患者の不測の事態は大きな問題を孕む可能性が高い以上、資料にある電力会社やガス会社、郵便局員よりも躊躇せずに通知することが必要であると私は思う。
また医師および病院は、虐待の恐れのある子どもにとって最も重要なセーフティーネットとして機能する。虐待された子どもが病院に来るのは、既に身体的危害を加えられた場合である。医師は怪我や損傷の状態を正確に見極め、虐待の可能性がある場合には速やかに子どもを両親から保護しなければならない。これは地方自治体を始め、大半の周辺者が干渉できない部分であり、なおかつ子どもの命に関わる重大な局面である。したがって医師はその社会的な責任の重さを自覚しつつ、積極的に子どもの盾となる必要がある。
私はこうしたセーフティーネットの当事者として、さまざまな機関、さまざまな人々と連携しつつ、人々の幸福と安全そして何よりも健康に貢献していきたいと強く思った。(793字)
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